【コスメ許認可の壁】薬剤師じゃなくてもOK?化粧品の責任者(総括・責任技術者)になれる資格・学歴の条件とは

「自分オリジナルのコスメブランドを立ち上げて販売したい!」
「海外から魅力的な化粧品を輸入して、国内のECサイトで展開したい!」
このような夢や事業計画をお持ちの事業者様が、許可取得の検討段階で最初にぶつかる大きな壁があります。それが法律(薬機法)で定められた「人的要件(責任者の配置)」です。
化粧品の製造や販売に関する許可を取得するためには、会社や事業所に一定の資格や学歴、経験を持った「責任者」を常勤で置くことが法律で義務付けられています。
「責任者になれるのは薬剤師だけ…?」
このように思い込んで諦めかけてしまう方が非常に多くいらっしゃいます。しかし結論から言うと、薬剤師資格がなくても、高校や大学での履修科目や業界での実務経験があれば責任者になることが可能です!
本記事では、コスメ事業の許認可取得に必要な2つのキーマン「総括製造販売責任者」と「責任技術者」の要件について、専門用語をわかりやすく噛み砕いて解説します。
1. まず理解すべき「2つの責任者」の違い
化粧品ビジネスに関わる許認可には、大きく分けて「化粧品製造販売業許可」と「化粧品製造業許可」の2つがあります。それぞれ配置しなければならない責任者の名称と役割が異なります。
【図解】化粧品の2つの許認可と必要な責任者
| 許認可の種類 | 必要な責任者 | 主な役割・業務内容 |
| ① 化粧品製造販売業許可 | 総括製造販売責任者(総括) | 【オフィスの責任者】 市場に出荷された製品の品質管理や安全管理の最終責任を負う。品質基準(GVP/GQP)の遵守や、万が一の回収対応などの指揮をとる。 |
| ② 化粧品製造業許可 | 責任技術者 | 【現場の技術責任者】 実際の製造現場(工場や工房、包装・ラベル貼りを行う倉庫など)で、製造工程や衛生管理を現場監督する。 |
※自社で製造から出荷まで一貫して行う場合や、輸入して自社倉庫でラベル貼り作業を行う場合など、両方の許可を取得する際は、要件を満たしていれば同一人物が「総括製造販売責任者」と「責任技術者」を兼務することも可能です。
2. 責任者になれる人の条件(資格・学歴・経験)
それでは、具体的にどのような条件を満たせばこれらの責任者になれるのでしょうか?
薬機法施行規則により、対象となる資格や学歴・実務経験の基準が定められています。主な要件は以下の3つのルートに分かれます。
【概要】責任者資格を獲得する3つの主要ルート
- ルート A:【国家資格】薬剤師 ➔ 経験問わず即座に対象
- ルート B:【専門学歴】大学・高校等で「薬学」または「化学」を修めて卒業した人 ➔ 即座に対象
- ルート C:【単位+実務経験】高校・大学等で「化学」を1単位でも履修 + 実務経験3年以上
ルートA:国家資格(薬剤師)
薬剤師の免許をお持ちの方であれば、実務経験や出身学科を問わず、無条件で「総括製造販売責任者」および「責任技術者」の要件を満たします。最も確実でわかりやすいルートです。
ルートB:大学・高校等で「薬学」または「化学」の専門学科を卒業した人
薬剤師資格がなくても、学校での専攻が該当していれば対象になります。
- 大学、高等専門学校(高専)、専門学校、高校等において、「薬学科」「応用化学科」「物質化学科」「工業化学科」など、薬学または化学に関する学科を専攻して卒業した人。
※卒業証書や成績証明書で、学科名や履修内容が「薬学」または「化学」に該当することを証明できれば、特別な実務経験がなくても責任者になれます。
ルートC:高校・大学等で「化学に関する科目」を修得 + 実務経験3年以上
「文系学科や他の理系学科出身だからダメかも…」と諦めるのはまだ早いです!
学校で化学専攻でなかったとしても、過去に「化学」に該当する授業(科目)を1単位でも取得しており、かつ化粧品業界での実務経験が3年以上ある場合は、要件を満たせる可能性が高いです。
【ポイント:見落としがちな履修科目】
高校時代に「化学基礎」や「化学Ⅰ・Ⅱ」を履修していたり、大学の教養課程で「一般化学」「有機化学」「生化学」などの単位を取得していればOKです。成績証明書を取り寄せて確認する価値が十分にあります。
なお、「実務経験3年以上」とは、既存の「化粧品製造販売業者」または「化粧品製造業者」での品質管理・安全管理・製造管理などの業務経験を指します。(※証明のため、前職などの会社から実務経験証明書を発行してもらう必要があります。)
3. ルート別・要件適合チェック表
ご自身や自社スタッフが条件を満たしているか、以下の表で整理してみましょう。
| 区 分 | 必要な学歴・資格 | 必要な実務経験 | 難易度・確認ポイント |
| 薬剤師 | 薬剤師免許の所持 | 不要 | 【低】 免許証の写しで確認可能 |
| 化学・薬学系の出身者 | 高校・大学等で薬学または化学の学科・コースを卒業 | 不要 | 【中】 卒業証明書・成績証明書が必要 |
| 化学科目履修者+経験者 | 高校・大学等で「化学」の単位を1つ以上取得 | 化粧品会社等で3年以上の実務経験 | 【高】 成績証明書 + 実務経験証明書が必要 |
| 旧制度での経験者 | 中等学校卒以上など | 化粧品製造等で5年以上の実務経験 | 【高】 ベテラン向け(証明書類の審査が厳格) |
4. 社内に該当者がいない場合の「3つの解決策」
「自分を含め、既存の社内メンバーではどうしても条件を満たせる人がいない…」
そのような場合でも、コスメブランドの立ち上げを諦める必要はありません。実務上、以下の3つの解決策があります。
- 該当する人材を外部から採用する化学系出身者や化粧品業界の経験者、薬剤師を正社員・契約社員として直接雇用します。(※原則として常勤務務が必要です)
- OEM(専門工場)を活用する【一番推奨!】自社で許可を取らず、すでに許可を持っているOEMメーカーに製造・出荷を完全委託すれば、自社で責任者を置く必要はありません。
- 有資格者の派遣サービスや役員招聘を活用する外部から条件を満たす人員を役員や派遣社員として迎え入れる方法です。
事業の規模や資金力に合わせて最適なスキームを選択することが重要です。
5. 申請時に注意すべき「常勤性」と「兼務制限」
資格や学歴の条件をクリアしていても、申請時に都道府県の薬務課からチェックされる重要なポイントがあります。
- ⚠️ 注意ポイント1:責任者は「常勤」でなければならない 名義貸しや、他社でフルタイム勤務している人を名前だけで責任者にすることは認められません。対象事業所に常勤(原則として週35〜40時間程度の勤務)している実態が求められます。
- ⚠️ 注意ポイント2:他企業の責任者や役員との兼務制限 すでに別の会社で「総括製造販売責任者」や「管理薬剤師」として登録されている人は、原則として自社の責任者を兼務することはできません。(※同一法人の同一敷地内での兼務など、一部例外あり)
判断に迷ったらプロへの事前確認が近道!
化粧品ビジネスの許認可において、「人的要件」は書類審査で最も厳しくチェックされるポイントです。
- 「自分が大学で取ったこの単位は“化学に関する科目”として認められるか?」
- 「前職での業務内容は“実務経験”としてカウントしてもらえるか?」
こうした判断は、手持ちの成績証明書や業務内容をもとに、管轄都道府県の薬務課(薬事担当部署)と個別に事前相談・交渉を行う必要があります。
自分たちだけで手探りで進めると、申請直前になって「要件を満たしていなかった…」という事態に陥り、開業スケジュールが大きく遅れてしまうリスクがあります。
コスメビジネスの許認可・人的要件のご相談はツクヨミ行政書士事務所へ
ツクヨミ行政書士事務所では、化粧品製造販売業・製造業許可の取得サポートを行っております。成績証明書や経歴書の事前チェック、薬務課との交渉・事前協議から、申請書類の作成・提出までトータルでバックアップいたします。
「自社のメンバーで責任者になれるか確認してほしい」「OEMを活用したスムーズな開業方法を知りたい」など、コスメビジネスに関するご相談やお悩みは、お気軽にお問い合わせください。

